コロナ禍の2021年夏、古き良き時代の趣を残す三階建ての木造建築と出会いました。
贅沢な木材の使い方、随所に施された精緻な意匠。空き家となっていたその邸宅は、私の心を強く惹きつけ、「この場所を再び息吹のある空間にしたい」という衝動に駆り立てられました。
具体的な用途も定まらないまま、私はその邸宅を貸りることを決断しました。
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当時、私は建築家として設計活動を行う傍ら、宿泊業も営んでおり、ふぐの本場である下関を訪れるお客様から、おすすめのふぐ料理店を尋ねられることが度々ありました。
邸宅の活用法を模索していたある日、お客様からの質問をきっかけに、私はふと思いついたのです。
「自信を持っておすすめできるふぐ料理店を、自分の手で創り出すべきではないか」と。
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この思いつきは大学時代のアルバイト経験に根ざしています。
建築を学んでいた私は、後にミシュランの星も獲得したフレンチの系列店にて、レストランウェディングのサービススタッフとして、お客様の笑顔や感謝の言葉に触れ、飲食店の空間が持つ素晴らしさに感動を覚えていました。
その時の想いがここに繋がりました。
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8年間カフェを経営してきましたが、本格的な飲食店経営は新たな挑戦となります。
どのような料理を提供するか、どのような仲間と働くか、そしてどのようなお客様に喜んでいただけるか、たくさんの思案を重ねて2021年12月にオープンさせました。。
もちろん今も悩みは尽きませんが、そんな時に思い出すのは、お客様の笑顔や感謝の言葉、それこそが私の原点です。
地元の方々に愛され、日常使いはもちろんのこと、顔わせや記念日・誕生日など大切な日のステージに使って頂けるように、そして観光に訪れた方に自信を持っておすすめしていただけるような、そんなお店にしたいと考えています。
そのために伝統を重んじながらも、常に新しい挑戦を忘れず、努力を重ねていく所存です。
この場所で、多くの方々に至福のひとときを過ごしていただけることを願っています。
代表取締役 沖野充和